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さて、3人目の作業員にも同じ質問をした。 すると、彼は額の汗をぬぐいながらも、胸を張ってこう言うのである。

「エジプトの文明を築く仕事の一翼を担っているところである」この3番目の作業員が持っているもの。 「理念」なのである。
私が8年間、社長を務めていたJンソン.Aンド.Jンソンには掛け替えのない価値観があった。 70年ほど前に英文で起草され、その後改定を加えながら、今日の形に至っているもので、自慢ではないが、世界中でもっとも有名、かつもっとも尊敬されている企業理念の1つである。
本人の好みとは関係なく、この会社の社員ならば、こういうものの見方、考え方をしょうじゃないか。 英語でPHILOSOPHYというのだが、トップはもちろん、全社員の魂をくくる太くて強い一本の綱である。
さて、この中で「わが社にとって大切なことは4つある」と述べている。 いちばん大切なのは顧客に対する責任である。
2番目は社員である。 3番目は社会に対する責任である。
社会とは狭い意味では地域社会、広い意味では世界社会を意味する。 4番目は株主に対するものだ、というのだ。
Kカコーラというエクセレントーカンパニーにいながら、なぜ転職したか。 その理由の60パーセントはこの1枚の紙切れに惚れ込んだからである。
なんとすばらしい理念なのだろう。 結果的には正しい決定だったといまでも思う。
顧客、社員、社会、最後が株主。 この順番で重要な責任を果たせ、というのである。
読んで、「えっ、ポンド?」と不思議に感じないだろうか。 Jンソン.Aンド.Jンソンはばりばりのアメリカ企業である。

「そういえば、外資系って株主をいちばん大切にするじゃなかった?」そうなのだ。 じつは私も不思議に感じたのだ。
だから、当時、最高経営責任者(CEO)であったJームズ.Bークに、ニューヨークのバーでビールを飲みながら聞いたのである。 「なぜ、株主が最後なのだ?私は日本法人の経営トップだが、この『わが信条』に感服している。
けれど、株主に対する責任がトップにくるべきではないのか?」「そうさ、わが社にとってもっとも大事なのは株主だよ。 会社は株主の出資でできているからね」という答えが返ってきた。
そのうえで、彼はこんなことを言うではないか。 「ね、株主に対する責任は一過性のものであっては困るのだ。
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